特集 健康教育と公衆衞生教育
総説
職場における衞生教育
戸田 弘一
1
1日本鋼管川崎製鉄所
pp.41-45
発行日 1956年11月15日
Published Date 1956/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201752
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1.職場に於ける衛生教育は衛生管理の中核である
衛生管理と云う言葉は労働基準法の施行と共につくられた言葉であり,読者の多くにはなじみのない言葉かと思われるので,簡単に説明を加えておこう。衛生管理とは事業場に働く従業員の健康に障害を与える如き諸々の事項を処理して従業員の健康を確保し,ひいてはその福祉に貢献すると共に,その結果として事業場の経営に好影響を与えるような一連の施策を行うことである。即ち衛生管理には2つの目的がある。一つは労働者の健康を保持し得るような対策をとり,疾病によつて起る不幸を回避出来るように努めることであり,他は企業経営の能率をよくするために労働力保全の意味で労働者の健康を保持するよう施策することである。このように表現すると全く相反した二つの目的があるようであるが,実は同じことを両面から見たに過ぎない。要は従業員の健康保持にあるのである。
衛生管理者はこの目的のために種々の対策をとつている。作業環境を調査してその改善をはかると共に,差当りの対策として有害な作業場では保護具を支給してこれが使用をすすめている。結核発病を予防するために一連の対策を進めている。伝染病の集団発生を予防するために清掃清潔対策や予防接種等の対策を計画している。重大な結果を招く如き慢性進行性疾病の早期発見のために定期に健康診断を実施している。
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