論説
衞生學の教育
齋藤 潔
pp.303-304
発行日 1947年11月25日
Published Date 1947/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200206
- 有料閲覧
- 文献概要
過去2年の間に本邦の行政組織は一大改革を遂げた。中でも衞生行政は,改革の先陣を切つてその姿を整へた。次に來るものは,この新しい陣容を動かす人の問題である。衞生技術者の養成訓練の問題が取り上げられる順序である。衞生學教育には醫學校に於ける學生に對するものと,醫師たるもので衞生技術者たらんとするものに對する専門教育とがある。既に衞生技術者である者に對する補習教育と専門教育である。以上が衞生學の教育の本筋であるが,更に醫師以外の教育を受けたものに對して,衞生學を授けて特殊の技術者たらしめんとするものもある。これら衞生技術者の養成を目指す専門教育は,その技術の信頼によつて夫々の分科に分れてゐる。最近各國で行はれている衞生技術の分科には次の7科がある。1)醫學科2)衞生藥學科,3)衞生獸醫學科,4)榮養學科,5)衞生監視學科,6)衞生工學科,7)保健姉學科。
この中醫學科は醫師たる衛生技術者の養成を目的とし,藥學科は藥剤者に對し,獸醫學科は獸醫に對し,また衞生工學科は工學を修めた者に對して衞生教育を行ふものである。榮養と衞生監視の兩學科は中等學校又は專門學校卒業に對して行つている。尚,衞生技術者として米國に於ては口腔衞生専門技術者(Oral Hygienist)が認められている。衞生が進歩し,衞生の分野で働く各専門技御者が要求せられるに至つたのであるが,衞生學が廣範な學問であることがうなづかれる。
Copyright © 1947, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.