對談
アメリカの衞生教育
緖方 富雄
,
楠本 正康
pp.133-136
発行日 1950年10月15日
Published Date 1950/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200717
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司會者 今度楠本先生がアメリカのヘルス・エジュケーションを中心とした醫師會の活動や,地方の活動をみて歸られたということで,その總括的な御感想を話していただき,緖方先生にそれを補足していただくという形で話を進めていただきたいと思います。御歸り以來お忙がしく,緖方先生を掴まえるのには苦勞しましたが…。
楠本 僕はヘルス・エジュケーションということを中心にして見てきたのですが,アメリカでは行政に對する國民の考え方を基礎として衞生教育が必要なんですね。だから日本とはまた別の意味の必要があるんですね。つまりもつと具體的に申しますと,民主的な行政というものは,結局それを衞生行政の面からみればですね,衞生教育が根本だということになるのです。アメリカでは衞生の問題を上から押し付けたり權限で仕事をするというのはとても惡いことになつているのです。それではどういうことかというと,國民の良き理解と協力ですね,これによつてのみはじめて衞生行政は完全に行われうるという考え方なのです。従つて,國民の良き理解と協力とを得るためには,ここに衞主教育が基盤になるのです。あちらは御承知のように州も郡も市も獨立しておりますが,ある市の,またはある郡の衞生行政が非常に振わなかつたとすれば,その根本を更に突いてみると,衞生教育が滲透していないからだという結論をつくるわけでね。
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