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1950年の発生情況より見た世界に於ける急性灰白髄炎
後藤 正宏
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1厚生省公衆衞生局防疫課
pp.103-108
発行日 1951年9月15日
Published Date 1951/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200910
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近年日本に於て急性灰白髄炎(小兒麻痺)が傳染病の一つとして急に問題にされている。そこでWHOに集まった各國の統計より見て急性灰白髄炎の流行がどのような形をとつているかを紹介する徴が見られるが,特に1950年には從來最も發生の多かつたカナダと米國に於て急性灰白髄炎の發生範圍が狭くなり,1949年に著しい流行を見たアイルランドやニュージーランドでは殆んど急性灰白髄炎の發生が見られなかつた。しかし一方ヨーロッパ諸國特にイギリス諸島やスゥェーデンを除くスカンジナビア諸國では著しい増加の傾向を見せている。
なお,こゝで豫め斷つておかなければならないことは國によつてその統計の取り方が非常に相異しているという事實である。即ち,屆出義務の有無,文化の進展度,その國の對急性友白髄炎政策の程度等がすべて異つているということは容易に想像出來る。また此の疾病の特微として不顯性感染,或は不善形のもの等現われる形が種々樣々であるためにも各國の數字の間には相當大きな隔りのあることが考えられる。たゞ一定の國については概ね統計の基準も一定していると考えられるので地域別に發性情況を略述することとする。
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