研究と資料
ソ連抑留邦人間に發生せるロシア森林腦炎に就いて(第1報)
北岡 正見
1
,
三浦 悌二
1
1豫防衞生研究所
pp.213-218
発行日 1949年2月25日
Published Date 1949/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200424
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ロシア森林腦炎または春夏腦炎と呼ばれる疾患は1937年から1939年に亘りソ連の學者達(Smorodimtseff(7))の努力によつて確定されたもので,シベリア及びヨーロツパの森林地帯だけに限局して發生する疾患であり,本病がソ満國境の森林地帶にまで浸淫していることは1944年北野(2)によつて明かにされた。
昭和20年終戰以來ソ連に抑留され森林作業に從事していた者の中から,春夏腦炎が發生していることは,昭和22年ソ連からの引揚精神疾患者の檢査によつて明かにされた。即ち腦炎に罹患したとの既性症のある患者2例(立川病院1例,武藏病院1例,の血清檢査の依頼を受け日本腦炎,春夏腦炎東部型,西部型,West Nile腦炎,St. Louis腦炎,米國馬腦背髄炎東部型,西部型の病毒を抗原として補體結合反應を行つたところ,春夏腦炎に罹患したことが明かにされた。こゝに於て國内防疫上,ソ連からの引揚者のうち腦炎罹患の既往症並にその後胎症あるものに就き一通り檢査する必要が生じて來た。
Copyright © 1949, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.