臨床實驗
本邦人高年者網膜血管に關する研究(第1報)—本邦人高年者網膜血管像に就いて
樋渡 正五
1
1東京大學醫學部眼科教室
pp.466-472
発行日 1952年6月15日
Published Date 1952/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201187
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全身的高血壓と,網膜血管像の關係や網膜血管硬化を論じた者は多いが,高年者に於ける網膜血管像の推移及び之と他の全身的所見との關係を論じた者は本邦では中泉と小松がある。即ち中泉は高年者の網膜血管像に就き「健康より硬化に至る迄の道程」を,1)大血管中靜脈の蛇行,2)大血管中動脈走行の蛇行,3)靜脈が太くなり動脈が細くなる,4)大血管壁に光線の反射像が認められる,5)血管壁の混濁,6)血管の走行中の太さの不同を認む,7)動靜脈交叉部の諸變化,8)眼底の出血白斑,の8段階に分けて,眼底變化と血壓は關係があり,腦溢血の遺傳關係ある者は概して眼底血管に變化を起し易いと述べている。小松は網膜血管硬化の程度の分類の基準を庄司教授の分類に置いて之を弱度,中等度,強度の3段階に分けで60歳以上の高年者の網膜血管に就き,1)絶膜血管硬化所見は約25%に於ては全く陰性で,75%中輕度及び高度は夫々約半分つつであり,2)性との關係は不明,年令との關係は60歳代に軽度が多く,3)全身血管硬化の輕度の者の方が網膜血管硬化度も輕い,4)全身血壓の高い程明らかに眼底變化も高度で,5)眼底變化の輕い者の方が尿中の蛋白證明度が少い,6)血液ワ氏反應との關係はない,
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