臨床實驗
本邦人高年者網膜血管に關する研究(第3報)—本邦人高年者網膜中心動脈血壓に就いて
樋渡 正五
1
1東京大學醫學部眼科教室
pp.267-273
発行日 1953年6月15日
Published Date 1953/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201521
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私の研究並びに總括考按
實驗材料及び實驗方法は總て第1報第2報の通りである。眼壓は被檢者を仰臥せしめ,0.05%ヌペルカイン3回點眼後Schiotzの眼壓計を使用唯1回のみ測定した。計測時間は午後2時から4時迄の間である。次いで被檢者を暗室内に腰掛けさせ約5分後にBailliartのOph-thalmodynamometer,を使用し直像鏡で乳頭面上の網膜中心動脈を觀察し,之をBailliart-Magitot曲線によつて換算した。若し初眼内壓値がこの曲線以外の數値の時は,便宜上之に近い曲線を想定し算出した。上眼瞼下垂の懼れある時は助手をして眼球を壓迫せぬ樣輕く上眼瞼を擧上させて檢した。最小最大血壓を如何なる點に選ぶかは人により異るであろうが,私はBailliart及び庄司の方法に從い,最初の搏動と搏動の消失する瞬間を採用した。全身血壓は右及び左上膊にて聽診法で行い,全身動脈硬化は尼子の橈骨及び上膊動脈の硬化及び蛇行の有無で決定した。
(イ)「高年者の眼内壓に就いて」は第1,第2,第3表(5號參照)に示す通りで,全體としての分布を見ると大部分(80.7%)は20から29mmHgの間にあつて最も頻度の高いのは20〜24mmHgである。性別的には男女とも20〜24mmHgが多く,女子に幾分高いようである。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.