スポーツ医学 つれづれ草
六根浄にかなへる人なり
武藤 芳照
1
Yoshiteru MUTO
1
1東京健康リハビリテーション総合研究所,所長
pp.172-172
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000003285
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富士山などの高い山に登るときに,「六根清浄 お山は晴天」と,掛け声をかけながら歩むのは,一つの自分のリズムを保ちつつ,過度に疲労しないように無事の登山を祈る言葉なのだろう。そうすることで心身のある種の緊張感がもたらされ,高山病をきたすのを防ぐともいう。「書写の上人は,法華読誦の功つもりて,六根浄にかなへる人なりけり」(『徒然草』第69段。天台宗の高僧の性空上人は,『法華経』の経文を声をたてて読むことの功徳を積み,六根浄の境地に達した人だの意)。「六根」は,五感(眼根/視覚,耳根/聴覚,鼻根/嗅覚,舌根/味覚,身根/触覚)に意根(意識,心)加えたもの。「六根清浄(六根浄とも)」とは,我欲などの執着を断ち,身も心も清らかな状態にすることとされる。
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