特集 転換期の結核対策―医療と予防
低まん延時代におけるわが国の結核医療体制の展望
加藤 誠也
1
1公益財団法人結核予防会結核研究所
pp.270-273
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102702
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はじめに
わが国の2011年の結核罹患率は人口10万対17.7となり,低まん延時代を迎えつつある.高まん延であった時代の結核患者は若年者が多く,医療は療養所を中心に隔離を目的としており,治療期間も2~3年の長期間を必要としていたが,その後,化学療法の発達によって患者は減少し,治療期間も徐々に短くなった.近年,結核患者の半数以上は70歳以上の高齢者であり,入院期間も70日程度になっている.これらに伴って,結核医療体制の再編が必要になっている.
以下,結核病学会や厚生科学審議会感染症分科会結核部会における議論を振り返りながら,平成23(2011)年5月に改訂された厚生労働省告示「結核に関する特定感染症予防指針」(以下,予防指針)1)に示された医療体制について概説する.
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