特集 血友病診療の新たな展開
わが国における血友病診療体制の現状と展望
白幡 聡
1
1産業医科大学名誉教授
キーワード:
血友病
,
医療連携
,
包括ケア
,
個別ケア
Keyword:
血友病
,
医療連携
,
包括ケア
,
個別ケア
pp.15-18
発行日 2019年5月20日
Published Date 2019/5/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.37.05_0015-0018
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
血友病患者・家族が抱える多様な問題に対処するために,欧米諸国の多くは,以前から血友病センターを整備し,地域の医療施設と連携して包括的ケアを提供してきた1)。たとえば,英国には2018年6月の時点で28の血友病包括ケアセンターと40施設以上の血友病センターがあるが,包括ケアセンターでは患者や血友病センター,診療所医師を24時間サポートできる体制がとられているほか,家庭治療の指導,心理的サポート,栄養管理,理学療法,歯科治療,整形外科治療など血友病の診断・治療に必要なすべてのケアに専門職が対応している。一方,血友病センターは包括ケアセンターと密接に連携をとりながら,居住地近くの患者の日常診療を担っている。さらに,欧州ではEU加盟諸国を中心に2018年6月現在,33ヵ国,141施設(包括ケアセンター107施設,治療センター34施設)からなる欧州血友病ネットワークが組織されており,連携下での包括ケアの提供,ウェブサイトの運営,安全性サーベイランスの実施など多彩な活動を行っている2)。また,米国には,血友病治療センターが140施設以上,地域中核センターが8施設あり,欧州同様,ネットワークを形成していて,合衆国政府の保健福祉省保険資源局による支援もあり,8割近くの患者は包括ケアを受けることができている。「KEY WORDS」血友病,医療連携,包括ケア,個別ケア
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.