特集 救急医療
わが国の救急医療体制
塚本 利之
1
1神戸大学公衆衛生学教室
pp.382-390
発行日 1973年6月15日
Published Date 1973/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204675
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今日,わが国の医療問題を誰に尋ねても,それぞれの立場,立場から「好ましい」と答える人は恐らくいないであろう.確かに医療の問題は,こと生命に関わることのために,条件の設定が苛酷なまでに厳しく要求されるに相違ないが,それをさて置いても積年の宿痾といった問題点は多い.
その一つに,文字通り緊急性の強い救急医療が,恰も医療全般の問題点の縮図の様に多くの欠陥,欠漏を指摘されている.そして,その性格内容も多面的で,多層的なものとなっている.それ故に対応すべき方策も種々と考えられるところであるが,公衆衛生の領域の中で捉えることが本筋であり,筆者に与えられた責任であろう.しかし,筆者が経験しているものは少なく,僅かに神戸市において地域保健(医療)の推進に伴う都市計画(マスタープラン)に多少とも参画し学び得た些細なものしかなく,準備された素養は乏しく,視野狭く思慮浅い謗は免がれ得ないであろうが,若干の私見を加えさせて戴きながら現実を見あるべき姿を考えてみたい.
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