特集 国際感染症対策の現状と課題
国際保健における人材養成の現状と課題
中村 安秀
1
1大阪大学大学院人間科学研究科国際協力学講座
pp.628-632
発行日 2012年8月15日
Published Date 2012/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102499
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被災地で役立った国際協力経験
私自身は,途上国と呼ばれる国々で,住民の健康を守るために予防接種や母子保健活動を行ってきた.20年以上前のインドネシア・北スマトラ州の電気や水道のない村や,パキスタンのアフガン難民キャンプで,予防接種や栄養改善に取り組んできた.そんな経験が,よもや日本で役に立つ日が来るとは,想像もしていなかった.
津波で市庁舎が流された市町村が予防接種を再開するには,費用と時間がかかる大変な作業である.ワクチンや注射器は支援物資として供給してもらうことは可能であるが,電気も安定しない中で,冷蔵保存のワクチンを保管しなければならない.一方,赤ちゃんのいる家庭からは,「定期の予防接種がいつ始まるのか」という問い合わせの電話が市役所に届く.
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