特集 国際感染症対策の現状と課題
HIV/AIDS制圧に向けた世界の現状と課題
新井 明日奈
1
,
玉城 英彦
1
1北海道大学大学院医学研究科国際保健医学分野
pp.622-627
発行日 2012年8月15日
Published Date 2012/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102498
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はじめに
昨年(2011)は,エイズが初めて報告されてから30周年であった.1995年以降,多剤薬物療法(HAART)が導入され,エイズは「死の病」から「コントロール可能な病気」になり,多くの先進国ではエイズによる死亡者数が激減している.また,2008年にはエイズの原因ウイルスであるHIVの発見に対して,フランスの2人の研究者にノーベル医学生理学賞が授与された1,2).このように,30年という短期間の間に,20世紀以降の最大の感染症であるエイズの対策は大きく変化した.しかし,高所得国と低・中所得国とのギャップはいまだ大きく,それを埋めるためのグローバルな活動が強化されている.
そのような背景にあって,国際社会は21世紀に突入した機会に,エイズの予防・対策のために新たなコミットメント(公約)を行い,いくつかの政治宣言を採択した.ここではまず,国連でのエイズ対策の調整機関である国連合同エイズ計画(UNAIDS)と国連の活動を中心に,エイズの世界の制圧の現状を概説する.
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