特集 子どもを守る
子どもを守る―国際的課題
中村 安秀
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1大阪大学大学院人間科学研究科ボランティア人間科学講座国際協力論
pp.610-614
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100621
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子どもの権利条約
健康と人権の問題(Health and human right)は,先進国および途上国を問わず,最も重要かつ解決が困難な課題の1つである.子どもの人権に関して,1989年国際連合の総会で採択された「子どもの権利条約」(the Convention on the Rights of the Child)が,世界中で適応されている最も基本的な原則である1).2005年現在,アメリカ合衆国とソマリアを除く世界192か国で締結されている.この「子どもの権利条約」は54条から構成されているが,その趣旨はSurvival(生存),Development(発達),Protection(保護),Participation(参加)の4つに集約することができる.
世界最高水準の乳児死亡率を誇る日本は,子どもの生存と発達という課題に関しては十分な成果を収めてきた.しかし,児童虐待や無国籍児の存在など「子どもの保護」に関しては多くの課題が山積し,教育現場での意見表明権や健康や疾病に関する知る権利など「子どもの参加」に関しては,非常に不十分な状況にあると言わざるを得ない.
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