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特集 精神科臨床から何を学び,何を継承し,精神医学を改革・改良できたか(Ⅱ)
災害後のこころのケア—阪神・淡路大震災からの20年の歩み
Mental Health Activities Following Natural Disasters: Progress of two decades in Japan after the Great Hanshin-Awaji Earthquake
加藤 寛
1
Hiroshi Kato
1
1兵庫県こころのケアセンター
1Hyogo Institute for Traumatic Stress, Kobe, Japan
キーワード:
Natural disaster
,
Mental health
,
The Great Hanshin-Awaji Earthquake
Keyword:
Natural disaster
,
Mental health
,
The Great Hanshin-Awaji Earthquake
pp.1355-1361
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205733
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はじめに
1995年の阪神・淡路大震災は,災害に対する社会の認識を変え,多くの領域で体制を変える契機となった。本稿では,法制度や救急医療での変革を概観した後で,精神科医療・精神保健活動に「こころのケア」という言葉が与えられ,大きな社会的関心を集めるようになった経緯について振り返る。この災害では,早期には精神科救護所活動が行われた。全国から沢山の支援者が参加したこの活動では,コーディネート体制の脆弱性などの問題に直面した。また,復興期の精神保健活動には初めて公的資金が投入されたが,寄せ集めの組織は,活動の方針や方法論が定まらないなどの多くの困難に翻弄された。こうした課題がどのように克服されたのかを論じ,災害によって関心が高まった「こころのケア」が犯罪,暴力,虐待などの社会に潜む問題にも拡大されていった経緯についてまとめる。阪神・淡路大震災以後,自然災害後の精神保健活動は必要不可欠なものとして認識され,新たなシステムが整備されつつある。阪神・淡路大震災で直面した課題は克服されているのか,残された課題は何か,などを考える機会としたい。
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