特集 血液事業のトピックス―身近な献血からiPS細胞の活用まで
広域災害における血液事業の危機管理―大震災での経験を踏まえて
中島 信雄
1
1日本赤十字社東北ブロック血液センター
pp.643-647
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102809
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はじめに
日本赤十字社法〔昭和27(1952)年8月14日法律第305号〕により,日本赤十字社(以下,日赤)の行う業務の1つとして,「非常災害時において傷病その他の災やくを受けた者の救護を行う」ことが定められている.
これを受けて,日赤では日赤救護規則を制定し,災害救護業務として,医療救護,救援物資の備蓄および配分,義援金の受け付けおよび配分,外国人の安否確認や帰宅困難者の支援などとともに,血液製剤の供給を行うことと定めている.
東日本大震災では,東北地方において,一時献血者の受け入れや血液製剤の検査・製造業務を中止せざるを得ない状況が生じたが,日赤血液事業本部(東京都)を中心とした全国的なネットワークのもと,被災地をはじめ,東北6県の医療機関に対し,必要な血液製剤を確実に供給することができた.これは,阪神・淡路大震災など過去の災害を教訓に,常に不測の事態を想定して構築してきた危機管理体制が機能したことによるものといえる.
しかしながら,東日本大震災では,想定しえなかった事態も発生した.この経験を踏まえ,次なる災害に備える日赤の危機管理体制について,日赤東北ブロック血液センター(以下,東北ブロックセンター)における取り組みを中心に紹介する.
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