巻頭言
広域医療と問題患者
佐藤 時治郎
1
1大館市立総合病院
pp.1136-1137
発行日 1987年11月15日
Published Date 1987/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204411
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本年の1月,弘前大学医学部神経精神医学教室より大館市立総合病院へ院長として赴任してきて以来,半年以上が経過している。病院内の事情も一応わかるようになったが,本院は505床のベットを有し,市内には他に公的病院がない上,創立以来110年になろうとする伝統を有し,長期間,周囲50町村を併せた広域圏の公立病院として機能してきた歴史を有する。最近こそ,近隣地域に比較的規模の大きい総合病院が数カ所存在するようになったが,現在でも依然として,その診療圏は広範囲にわたっている。救急指定病院でもあり,最近の大病院指向的な患者心理もあって日曜,祭日でも多数の患者が外来に集まり,日当直の医師や看護婦は多忙をきわめる。それにつれてパラメディカルの職員も緊急検査や手術で昼夜をわかたず動員される状況にある。
外来患者の年次統計をみても,一日平均数が秋田大学や弘前大学医学部附属病院のそれをはるかに上廻る患者数である。新任の若い医師の中には悲鳴をあげる者もいて,本当に人口7万の小都市なのであろうかと疑ったりしている。65歳以上の人口比率は国の平均を越え,13%台であり,明らかに高齢化が進んでいて,どの科の外来を見ても老人の姿が目につく。精神科に関しても同様であるという。こうして多数の患者が集まれば,自然とその中に問題を提起する患者が出てくるのも当然といえるであろう
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