特集 これからの予防接種
わが国における予防接種行政の現状と課題
平山 宗宏
1,2
1母子愛育会・日本子ども家庭総合研究所
2高崎健康福祉大学大学院
pp.714-717
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101642
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
感染症が有史以前から人類最大の敵であったことは歴史が物語っているが,その感染症に対抗する手段を持てるようになったのはごく最近のことであった.18世紀末のジェンナーによる牛痘種痘法の開発は,経験に基づく試行の成功であったと言える.病原体の発見は19世紀も後半になってから,コッホによる炭疽菌が最初であり(1876年),次いでパスツールにより炭疽菌ワクチンが開発された.その後引き続いて多くの病原体が発見され,それによってワクチンも開発されてきている.予防接種が感染症予防の主役となったのは20世紀以降であるが,現在では重症感染症の多くがワクチンによって予防され,制圧されつつある.ワクチン開発の歴史については多くの成書があり,筆者も紹介したことがあるが1),本稿ではわが国における予防接種行政の最近の状況を解説させていただく.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.