特集 Stroke Unitと理学療法
わが国のStroke Unitにおける現状と課題
尾谷 寛隆
1
,
上原 敏志
1
,
峰松 一夫
1
Odani Hirotaka
1
1国立循環器病センターリハビリテーション部
pp.473-478
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101191
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はじめに
脳卒中は,わが国における全死因の第3位,要介護者となる原因疾患の第1位,特に要介護度5の患者の44.5%を占めるという重篤な疾患である(2004年時点).
近年,脳卒中ユニット(stroke unit:以下,SU)での治療が死亡率を低下させ,その後の日常生活活動(ADL),生活の質(QOL)を改善させるとともに,結果的に家庭復帰率を向上させ,入院期間を短縮させることが明らかにされている1~4).筆者らの勤務する国立循環器病センターでは,1978年に全国に先駆けて脳卒中集中治療室(stroke care unit:以下,SCU)を設置し,SCUやSUの必要性を全国に訴えてきた.しかし,1999年の時点では,医療施設におけるSUの設置率は3%程度にとどまっていた5).この背景には,脳卒中診療体制やSUの運営指針などについての明確な基準が策定されていなかったという実情があり,また保険診療上もSU設置による医療効果,経営効果が提示されていなかった.
2005年10月11日,ようやくわが国でも,発症3時間以内の脳梗塞患者に対して,遺伝子組み換え組織型プラスミノーゲン・アクティベータ(recombinant tissue-type plasminogen activator:以下,rt-PA)であるアルテプラーゼ静注療法が認可され,急性期脳卒中医療に特化した,より専門的なSUを整備・普及させることの重要性が認識されるようになった.
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