特集 揺らぐ食品への信頼
わが国の食品安全行政の現状と課題
藤田 由紀子
1
1専修大学法学部
pp.787-790
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101417
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日本の食品安全行政―「リスク分析」手法の導入
現行の食品安全行政の仕組みは,大幅な関係行政機構の再編によって,2003年7月1日に構築された.この再編の直接の契機となったのは,2001年9月に発生した国内BSE(牛海綿状脳症)感染牛の問題において,事態に適切に対応できない行政への批判や不信が高まったことである.
新しい食品安全行政の構築を目指して,2003年7月1日に施行された食品安全基本法は,国民の健康保護の最優先を原則とし,同法に基づいて内閣府に設置された「食品安全委員会」が新しい食品安全行政の中核に位置づけられた.また,農林水産省では,食糧庁が廃止され,消費者行政や食品のリスク管理を担う「消費・安全局」が新設され,同時に再編された地方農政事務所にも,消費・安全部が置かれた.他方,厚生労働省では,従来の医薬局が「医薬食品局」に,食品保健部が「食品安全部」にそれぞれ改称され,食品安全部内の再編や,リスクコミュニケーションを担う大臣官房参事官(医薬担当)の新設,食品衛生監視員の増員等が行われた.
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