連載 地域における自殺対策の新展開―自殺は予防できる・5
鹿児島県における自殺対策
宇田 英典
1,2,3,4
1鹿児島県大隅地域振興局保健福祉環境部
2鹿屋保健所
3保健福祉環境部志布志支所
4志布志保健所
pp.656-660
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101386
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鹿児島県の現状
自殺率は近年,北東北地方が最も高く,次いで鹿児島県を含む南九州地方に高い状況が続いている.これらの地域特性は必ずしも従来から固定したものではなく,1960年代までは関西,北陸地方が高く,北東北,南九州両地域ともに全国平均より低くなっていた.最近の現状に推移してきたのは概ね1960年代後半からで,本県においても同時期から徐々に全国平均を上回るようになり,1970年代からは全国平均の1.2~1.3倍と高い状態が続いている.全国の自殺者数が31,755人と過去最高を記録した1998年,本県においても初めて503人(28.1/10万人)と500人を超えたが,それ以降は2005年まで年間453~495人(25.5~28.1/10万人)と500人以下で推移してきた(図1).
しかしながら,ここ最近自殺者数の増加が著明となり,2006年には507人(29.2/10万人)となり,全国9位となった(図2).さらに2007年の人口動態統計概数で見ると,2年連続で500人を超す見込みとなっており,自殺者数の増加は年々深刻となっている.
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