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あとがき
西田 茂樹
pp.370
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101070
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過労死の問題が上畑鉄之丞先生によって初めて指摘されてから,30年以上の年月が経過しています.それにもかかわらず,労働者派遣の業種拡大,成果主義や裁量労働制の導入といった近年の労働環境の変化は,さらなる過労死,過労自死を引き起こす方向へ向かっているのではないかと危惧されます.最近話題になったホワイトカラーエグゼンプションの導入も,周知のとおり,表向き自律的労働と言いながら,際限のない時間外労働を招く危険が内在しています.これらの経緯を踏まえ,今月,主にいわゆるホワイトカラーに焦点を当てて,長時間労働を中心とした労働衛生上の問題について特集を企画しました.
労働と健康の関係は公衆衛生上きわめて重要な問題です.ほとんどの人は,生きていく上で仕事(家事を含む)を避けることはできません.その仕事が健康を害する危険をなくすために,われわれ公衆衛生従事者は,あらゆる場面で積極的に取り組んでいかなければならないと考えています.本特集では,先生方にそれぞれ読み応えのある内容をご執筆いただきました.保健所や市町村等での,過労死,過労自死,またそれにつながる労働による身体と心の疾病をなくしていく取り組みの参考にしていただければと思います.
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