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あとがき
阿彦 忠之
pp.182
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101067
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特集「がん対策」の第2弾は,2次予防としての「がん検診」を多角的視点から学べる内容となりました.また,がんの一部は,難治性の慢性感染症としての側面を併せもつこと,がんの1次予防には環境化学物質のリスク評価等の研究成果に基づく新たな環境対策が重要となること,およびがん患者のQOL向上に関する取り組みにもヘルスプロモーションの視点が重要であることなどを学ぶことができました.
ところで,年頭からの2回にわたる特集は,本年4月1日施行の「がん対策基本法」を意識した企画ですが,同法の条文を読む限り「がん検診の実施に関する責務がどこにあるのか(国か,地方公共団体か,保険者かなど)は明記されていない」という坪野先生のご指摘には,思わず「が・ーん・!」ときました.がん検診は,平成10年度から老人保健法による健康診査の項目から削除され,確かに実施主体が曖昧になっていました.診療報酬引き上げの財源確保のために,がん検診が削除(国庫補助金が一般財源化)されたという当時の噂を思い出しつつ,がん検診の受診率が全国的に伸び悩んでいる(市町村によっては低下している)現状を重ね合わせて考えると,本特集の「がん対策の経済学」を含めた玉稿を,当時の官僚や医療関係者がご覧になっていたら…と悔やまれるところです.
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