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あとがき
阿彦 忠之
pp.886
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101179
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最高気温記録(従来は山形市の40.8℃)が,74年ぶりに更新された今夏.それでも暑かった山形での実話を1つ.某病院から「入院患者から検出された菌が多剤耐性結核菌(3種病原体)と判明した.感染症法の改正に伴い,当院では管理できないので,滅菌廃棄していいですね」という話が保健所にありました.廃棄されては困るので,保健所から相談を受けた衛生研究所が,菌の譲渡の受け入れを決定.ところが,車で20分の距離の菌の運搬でも,法令順守(運搬経路等の詳細に関する公安委員会への届出など)には予想以上の苦労がありました.さらに,感染経路等の究明のため,菌株を抗酸菌レファレンスセンター(結核研究所)に送付しようと考えましたが,法令順守の方法で輸送するには1回で15万円以上の経費が必要とわかり,その執行は保留….
結核予防法を統合し,さらにテロ対策との関連で病原微生物等の適正管理に関する規定を新設した改正感染症法が,今年度から施行されました.しかし,本特集内で倉田先生がご指摘のように,病原微生物の管理規制の強化を感染症対策の推進に関する法律の枠内で進めるにあたっての弊害(例:病原体サーベイランスに支障)が心配されておりました.それを現実のものとして体験した夏でした.
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