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あとがき
阿彦 忠之
pp.970
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101702
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『百歳まで生き,ガンで死のう.』これは,胃のX線二重造影法の開発者の1人である市川平三郎先生(国立がんセンター名誉院長)の著書の題名です.1992年初版の単行本ですが,書棚に見える背表紙は,当時よりも現在のほうが存在感を増しています.日本人の2人に1人ががんに罹患する時代を迎えた今,がん予防戦略の目標は,生涯を通じてがんに罹らないようにすることではなく,がんに罹る(または,がんで亡くなる)年齢をできるだけ先送りするという視点が重要であることを再認識させてくれる題名です.
今回の特集では,がんの1次予防と2次予防に焦点を当てましたが,この分野の研究が急速に進んでいることを実感できる内容となりました.発がん要因として特定の微生物の関与が明らかなもの(HPVを原因とする子宮頸がんなど)については,罹患年齢の先送りはもちろん,罹患ゼロを目標に掲げることも可能となるかもしれません.
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