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あとがき
阿彦 忠之
pp.584
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103086
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本号の特集は,昨年(2013年)10月に「水銀に関する水俣条約」が採択されたというニュースが企画の発端でした.水俣病を原点とする公害問題の背景や公害対策の歴史的教訓を学び,その教訓を最近の新たな公害対策や変貌する環境問題の解決のために活かすべきではないかと考えました.
わが国の公害対策の歴史的教訓については,宮本憲一先生の玉稿に濃縮されています.「ノーモア四日市」をスローガンとした科学的な市民運動が勝利し,公害対策基本法が制定されたものの,しばらくは環境保全と産業成長の調和(実際は産業の優先)を図るための甘い環境基準が設定されたこと.それに反対する世論が拡大して,生活環境優先の法体系に改正された経緯などが詳しく解説されております.「公害対策は調和論でなく人権と環境優先を原則とする」というメッセージは重要な教訓です.
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