特集 感染症法の成果と提言
感染症と人権 特にらい(ハンセン病)患者の歴史と復権の過程
中谷 瑾子
1
1慶應大学
pp.282-286
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100845
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予想外の冷たい冬を迎えたわが国では,インフルエンザが流行して,少なからず死者も出ているが,「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年10月2日,法律第114号)」(以下「感染症予防等法」と略)によれば,インフルエンザは後天性免疫不全症候群(エイズ)と同じく,4類感染症に分類されている.
筆者に与えられた「感染症と人権」の課題に関して論ずべきは,何といってもハンセン(らい)病とエイズ問題であり,感染症予防等法の前文にも「ハンセン病,エイズ患者に対する言われのない差別や偏見が存在したという事実」が認められている.
ハンセン病患者に対する言われのない差別や偏見については,最近の若者たちには無縁のように思われるかもしれないが,特に人権侵害の事実が重く,とりわけ行政の責任が問われなければならないと考えるので,本稿ではこれにウエイトを置いて論ずることとする.
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