特集 公衆衛生のリーダーシップ
公衆衛生の復権とその拠点としての保健所の復権を
田上 豊資
1
1高知県中央東福祉保健所
pp.10-13
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208095
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地域保健法が1994(平成6)年に成立してから20年が経過した.同法の基本指針により,身近な地域保健サービスは市町村が担い,広域的専門技術的なサービスを担う保健所の所管区域は,保健医療福祉の有機的な連携を図るため原則として2次医療圏とするとの考え方が示された.折しも行財政改革の時期でもあり,2次医療圏単位に保健医療福祉の連携を進めるという名目で,県型保健所と県福祉事務所の統廃合が一気に進み,1994年に848あった保健所が,現在では495となっている.市町村合併も進み,中核市保健所が増えるとともに,大都市部では1市1保健所化が進んだ.
高知県においても,地域保健法前の10保健所が統廃合され,2005年には現在の5福祉保健所(保健所と福祉事務所の統合組織)と中核市の高知市保健所の6つに再編され,保健所職員数は激減した.筆者が保健所に入ったのは1981(昭和56)年.老人保健事業や乳幼児健診などで地域に出ることが多く,高知県独自の駐在保健婦制度もあって,保健所は県民に身近な存在であった.県民への直接サービスの主体が市町村に移り,保健所が再編縮小化する中で,一般県民から遠い存在になることは必然であった.
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