連載 感染症 Up to Date・62
らい予防法廃止後のハンセン病患者の実態
青木 美憲
1
1国立療養所邑久光明園
pp.552-554
発行日 2001年7月10日
Published Date 2001/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902459
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熊本判決
2001年5月11日。この日は,わが国のハンセン病対策に対して,初の司法判断が下された歴史的な日でした。当日は熊本地裁には多数の原告,支援者,報道関係者らが詰めかけ,数少ない傍聴券を手にしようと300人を超える人が列をつくっていました。
午前10時,原告らが固唾を飲んで見守るなか,裁判長が判決文を読み上げ始めました。すぐに,勝訴を知らせるために弁護士が後ろのドアから勢いよく飛び出していく音が廷内に響きました。5分ほどで読み上げが終わり閉廷すると,傍聴席は喜びの声と涙であふれていました。「生きててよかった」と絞り出すようにつぶやくのが精一杯の人もいました。
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