特集 感染症法の成果と提言
テロ対策と感染症法
加來 浩器
1,2
1陸上自衛隊衛生学校教育部戦傷病救急医学教室
2国立感染症研究所感染症情報センター
pp.278-281
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100844
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2003年は,「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下,感染症法)が制定され5年が経過し,最初の見直しが行われる年である.この5年間に,2001年米国同時多発テロ,さらに引き続き炭疽菌テロが発生し,国内外で各種生物テロへの対処が必要となった.国内では“白い粉事件”が社会問題となる中,世界中が注目を集める「ワールドカップ2002」が韓国と共同で開催されるなど,生物テロを念頭に置いた危機管理のあり方が真剣に議論された.
本稿では,国立感染症研究所での実地疫学専門家養成コース(FETP: Field Epidemiology Training Program)の2期生として,感染症サーベイランスや感染症集団発生時の実地疫学調査に携わった筆者の経験から,生物テロに対する危機管理(Crisis management)および結果対処(Consequence management)に関連する現行法の問題点の案出と,見直しへの提言を試みようと思う.
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