特集 結核対策新時代―結核予防法のリビジョン
結核対策における保健所の役割
阿彦 忠之
1
1山形県村山保健所
pp.187-193
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100041
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保健所は,わが国の結核対策の中核となる地方行政機関である.しかしながら,平成9年の地域保健法の施行後,保健所の統廃合が急速に進み,全国の保健所数は,平成8年度の845カ所から平成16年度には566カ所まで減少した.大都市(政令市)では,複数あった保健所を1カ所に集約する自治体が多くなった.一方,都道府県の保健所は,2次医療圏単位に再編されると共に,福祉事務所との統合,あるいは総合出先機関(地方振興局,総合支庁など)への編入などが進んでいる.
このような組織改変により,一保健所当たりの結核担当保健師数が増加し,福祉部門との連携が強化されたところでは,専門性の向上や患者の治療支援などの面でメリットが大きかった.その一方で,行財政改革の波に飲まれ,統合後も保健師数が増えず,胸部X線などの検査部門が廃止された保健所では,定期外健康診断(以下,定期外健診)も全面的に外部委託とされるなど,結核対策にかかわる保健所の基本機能を維持できるかが懸念されるところである.
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