特集 地域におけるたばこ対策の取り組み
地域でのたばこ対策推進における保健所の役割
簑輪 眞澄
1
,
谷畑 健生
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.782-786
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902179
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筆者の一人(M.M.)が喫煙問題に積極的に関心を持ったのは,保健所に勤務していた昭和50年頃,結核検診のいわゆる間引きに伴い,“先進的な”地域で肺がん検診が始められていた頃である.その時筆者は,肺がん対策ならまずは喫煙対策を進めるというのが先なのではないだろうかという単純な発想をしたのである(M.M.の発想はいつも単純).そこで,単純なやり方だが,喫煙の健康影響に関する勉強のため,英国王立内科医学会によるSmoking and Health Now1)を入手し,県職員の管理者研修会に参加させられた時,地元の新聞社の論説委員によるだら話を聞くふりをしながら読んだ.そして,たばこの健康影響がいかに重大なものであるかを改めて実感したのである.
それから25年近くを経た今,たばこの健康影響はますます重大かつ広範囲なものであることが明らかになっており,しかもなお明らかになりつつある.一方,たばこ製品は自然に流通している大根やなすびとは違って,巨大な資本を持つたばこ産業によって広告され,販売促進がなされているのである.もっと言ったら,わが国では大蔵省ですらそれをあてにしているという問題もある.
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