特集 結核対策新時代―結核予防法のリビジョン
結核対策における結核病院の役割―院内DOTSへの取り組みから
髙嶋 哲也
1
1大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター
pp.194-198
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100042
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WHOが提唱するDirectly observed treatment, short course(以下,DOTS)は,医療従事者による抗結核薬の直接服薬確認(DOT)を中心とした総合的な結核対策戦略のブランド・ネームである.わが国では「大都市における結核の治療率向上(DOTS)事業要領」の通知に基づいて,平成13年から大都市を中心にDOTS事業が始められた.そして,平成15年には「日本版21世紀型DOTS戦略推進体系図」が示され,各地でDOTSを用いた治療率の向上に取り組んでいるところである1).今回の結核予防法の一部改正には,結核患者等に対する医師の指示として「医師は結核患者等に処方した薬剤を確実に服用する指示を行うこと」と記載され,さらなるDOTSの推進が求められている.
ところで,治療の中断・脱落を防いで治療率を高めるためには,結核を治す意志が強固な治療開始時に,患者教育ならびにDOTを開始することが肝要である.わが国では結核治療で最も重要な初期2カ月間は入院が主体であるので,今後のDOTS推進は結核病院の取り組みに大きく左右されることになる.
大阪府立呼吸器・アレルギー医療センターでは,平成13年1月に「DOTS連携マニュアル」を制定し,結核患者全員を対象に患者教育と直接服薬確認(以下,院内DOTS)を行い,また定期的に地域保健所とカンファレンス(以下,院内DOTSカンファレンス)を開催して服薬支援の継続を図るなど,病院全体で治療率向上に取り組んでいる.
本稿では,当院での院内DOTSならびに院内DOTSカンファレンスの経験を踏まえ,今後の結核対策における結核病院の役割について述べる.
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