特集 「私のお産」はみんな違う それぞれの背景,経験,想いを聴いたロングインタビュー集
【より深く聴き,ケアにむすぶために】
出産の語りをいかに聴くか
安田 裕子
1
1立命館大学総合心理学部
pp.150-155
発行日 2025年4月25日
Published Date 2025/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134781680790020150
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はじめに
人の一生は「生まれる」ことから始まる。そしてそこには「産む」人がいる。人の数だけ生まれるかたちがあり,そのお産の体験がある。出産とは,人がこの世に生まれ出ることと,人がこの世に生を産みだすこととが同時に起る営みである。いのちがいのちを産むことであり,いのちがつながることであり,いのちを次の世代に伝えることである1)。このようにいのちは脈々と受け継がれてきたのであり,いわば出産の歴史は長い。そのありようには社会や文化がとらえられもする。そうした,いのちをむすぶという人の生にかかわる個別の多様な体験を,人は,いかに言葉にするのか。それはどういう広がりをもち,意味をもちうることなのか。以下ではまず,出産の時代的・社会的な変化を概観し,出産を語るという個人的な行為との接点を探る。そして,自他に向けて発信される出産に関する語りのむすびには,生殖にとどまらない生成と継承の様相をとらえることができることについて論じる。

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