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昨今、当事者の語りに注目が集まっている。それは体験した人しか語れないことがあるからである。そこで、市民公開講座では「健康と病いの語り」というテーマを軸にして、3名の演者にリレー式に講演を行っていただいた。演者は、社会学的観点から医療者や当事者の語りに注目して研究されてきた鷹田佳典先生(日本赤十字看護大学)、健康と病いの語りを集積し患者中心の医療を考えることに取り組んでいるディペックスジャパンで活動してこられた射場典子先生(聖路加国際大学、ディペックスジャパン)、緩和ケアの臨床で心理士として患者や家族の支援に携わり、マギーズ東京では来訪者の声に耳を傾けている栗原幸江先生(上智大学グリーフケア研究所、マギーズ東京、がん感染症センター都立駒込病院緩和ケア科)である。
鷹田佳典先生は、ふだん触れられることの少ない医療者自身の病気や障がい、老いること、死に関する語り、そして患者を救うことができないに「非英雄」としての医師の苦しみについてご紹介頂いた。医療者ではない者にとって、医療者の語りを聴くことは、医療者は決して英雄ではなく同じ人間であるということを知ることにつながると話された。射場典子先生は、自身ががん患者となって見えた世界があること、当事者にしか語れない世界があること、当事者の語りはそれに触れる者をひきつけ、自己の生き方を顧みることを促すパワーを持つのだというメッセージを頂いた。栗原幸江先生は「語りのチカラと聴くチカラ」と題して、語りの聴き手にとっても、語り手にとっても、双方に多くの発見や気づきをもたらすこと、支える側と支えられる側という一方向的な関係性ではない、両者がエンパワーされる関係性が生まれるのだと話された。
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