徹底分析シリーズ 手術場での急変対応—チーム医療で患者を救おう
危機的出血への即時対処—少ない資源でも有効な救命を
須田 拓郎
1
Takuro SUDA
1
1山形県立中央病院 麻酔科
pp.365-369
発行日 2026年4月1日
Published Date 2026/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360330040365
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あなたは豪雪地帯にある病床数350床の病院に勤務している。最寄りの血液センターや高次医療機関からは50km以上離れており,患者の搬送も容易でない。真冬の深夜,作業中に下腿が重機の下敷きになった30代の男性が救急搬送された。来院時の血圧90/55mmHg,脈拍110回/min。下肢は重度損傷による切断を免れない状況で,圧迫しているガーゼの下からじわじわ出血が続いている。当番医のあなたは一人で対応しなければならない。患者は手術室にすぐに入室となったが,全身麻酔導入後血圧が低下。20Gの末梢路が1本しか確保されておらず,院内の輸血もほとんどなかった…。
…
脚色はあるものの,実際に筆者が経験したシチュエーションである。危機的出血とは「心停止や高度な神経学的合併症,死亡に至る可能性のある出血」と定義されており1),麻酔科医にとっては常に起こり得る重大な合併症である。外傷,外科手術,産科出血など多彩な背景で発生し,対応の遅れが循環の破綻につながる可能性もある。
本稿では,2025年4月に改訂された『危機的出血への対応ガイドライン』1,2)の要点(メモ)をふまえ,現場で留意すべき具体的対応を整理する。

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