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■症例
44歳の男性。身長168cm,体重68kg。既往歴に特記事項なし。数か月前から両上肢のしびれと巧緻運動障害を自覚し,MRIでC6椎体腫瘍を指摘された。C5〜C7前方固定術およびC6〜T1後方固定術が計画された。術前の麻酔評価では,頸椎可動域はやや制限されていたが,そのほかに気道確保困難を示唆するものはなかった。
導入はプロポフォール目標濃度調節静注(TCI)3μg/mL,レミフェンタニル0.3μg/kg/min,ロクロニウム50mgを使用し急速導入。マスク換気に問題なく,ビデオ喉頭鏡を使用し愛護的に挿管し,挿管は容易であった。維持は全静脈麻酔(TIVA)で手術は問題なく終了した。出血量は約300mL,手術時間は6時間30分であった。手術終了後,覚醒良好のため抜管された。
術後1日目は集中治療室でモニタリング下に経過観察とし,経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)98%,呼吸状態も安定していた。ドレーンの排液量も多くなかった。
しかし術後2日目早朝,嗄声と嚥下困難が出現。看護師が前頸部腫脹を認めたため酸素マスク6L/minで投与を開始したが,SpO2は90%前後で推移し,仰臥位で呼吸困難感が増悪。頸部の著明な腫脹と気管の偏位が認められた。
CTでは傍椎体腔の血腫(7cm)を認め,声門下部の気管が血腫により後方から圧迫され,狭窄していた。当直の整形外科医がコールされ,局所麻酔下での血腫開放を試みたが,疼痛と体動により呼吸状態が不安定となり中止。麻酔科へ緊急コンサルトが行われた。
患者は座位で努力呼吸を続けている。発声は嗄声で,仰臥位では呼吸困難が増強した。血圧160/85mmHg,心拍数100bpm,SpO2 90%(マスク6L/min)であった。
さて,あなたならどうする?

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