THE Editorials

Anesthesiology

Editorial：

Silverton NA, Hoareau GL, Kuck K. Cardiopulmonary bypass and the kidney：new evidence for old foes. Anesthesiology 2025；142：985-8.

Article：

Furukawa T, May CN, Jufar AH, et al. Persistent renal hypoxia and histologic changes at 4 weeks after cardiopulmonary bypass in sheep. Anesthesiology 2025；142：1047-57.

■人工心肺後の急性腎障害

人工心肺を用いた心臓手術後の急性腎障害（AKI）の発生率は25〜40％と報告されており，慢性腎臓病（CKD）に移行したり，最大で6％程度は腎代替療法が必要となったりする。AKIを発症した場合，術後早期死亡率が4倍にも上昇するだけでなく，長期死亡率も2倍程度上昇する。AKIのリスク因子として，高齢やCKD，糖尿病などの患者要因，長い人工心肺時間，貧血，輸血，酸素運搬量の低下などの人工心肺要因などがある。人工心肺中の灌流圧を高めに維持したり，灌流量を増加させたりするなどの予防対策もとられるが，その効果は確実ではない。AKI発症のメカニズムとして，人工心肺が腎髄質への酸素供給を低下させ構造的損傷を与える可能性が示唆されている。