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■症例
80歳の男性。身長164cm,体重60kg。40本/日×60年の喫煙歴がある。70歳時に左上肺野に異常陰影を指摘され,精査にて扁平上皮癌と診断,当院呼吸器外科にて左肺上葉切除(開胸)を受けた。77歳時に中咽頭癌の診断を受け,当院耳鼻咽喉科にて中咽頭腫瘍切除および右頸部リンパ節郭清を受けた。今回,フォローアップ目的で施行した胸部CTにて,右肺上葉に腫瘤を指摘され,右肺部分切除の予定となった。
術前肺機能検査では,肺活量(VC)1.54L,%VC 78.5%,1秒量(FEV1.0)1.00L,1秒率(FEV1.0%)65.0%,術前の動脈血液ガス検査では,動脈血酸素分圧(PaO2)74mmHg,動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)46 mmHg,動脈血酸素飽和度(SaO2)94%であった。頸部手術後であり,頸部後屈制限および開口障害(上下門歯間距離3cm)を認めた。
■麻酔経過1
全身麻酔は全静脈麻酔(TIVA)で導入・維持を行うこととした。分離肺換気が必要であり,37Frの左用ダブルルーメン気管支チューブdouble-lumen endobronchial tube(DLT)を準備した。100%酸素で前酸素化を行い,プロポフォール,レミフェンタニル,ロクロニウムによる急速導入を行った。用手的マスク換気は可能であり,筋弛緩モニターで十分な筋弛緩を確認した後,ビデオ喉頭鏡(McGRATHTM MAC)にて喉頭展開を行った。
ビデオ喉頭鏡のブレードを口腔内に挿入しようとしたところ,十分な開口が得られず,装着していたブレード(McGRATH MAC3 喉頭鏡ブレード)を口腔内に挿入はできるものの,喉頭の観察は困難であった。McGRATH X BLADETMに変更したところ,口腔内および咽頭の観察が可能となり,声門も確認することができたので,準備した37Fr左用DLTの挿管を試みたが,口腔内に十分な操作スペースがないためか,DLTを声門に誘導することができない。スタイレットを調整して数回試みたが,挿管は困難であった。
さて,あなたならどうする?

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