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■症例
58歳の女性。身長152cm,体重52kg。健康診断で胸部の異常陰影を指摘され,精査の結果,右上葉肺癌と診断された。手術は胸腔鏡補助下右肺上葉切除術が予定された。喫煙歴は10本/日×22年間で3年前から禁煙している。特記すべき既往なし。呼吸機能検査や心臓超音波検査は正常範囲内であった。日常生活動作(ADL)に大きな支障はなく,階段の昇降も可能である。
■麻酔経過
手術室入室後に静脈路を確保し,T6/7から硬膜外麻酔を施行した。全身麻酔は,プロポフォール目標濃度調節静注(TCI,3μg/mL)とレミフェンタニルによる急速導入で行った。入眠後にロクロニウム50mgを投与し,左用35Frダブルルーメン気管支チューブdouble-lumen endobronchial tube(DLT)を挿管し,チューブをやや反時計方向に回転させながら気管支まで進めた。その後,気管支ファイバースコープ(以下,ファイバー)で気管支ルーメンから観察したところ,すでに気管支ルーメン先端は気管分岐部を越えて,左第二気管分岐部の手前と思われるところに位置していた。気管ルーメンからも観察したところ,青カフが左側の気管支に入っているのを確認した。挿管後のバイタルサインは心拍数80bpm,血圧125/75mmHg,経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)100%であった。聴診は施行せず,左側臥位にし,手術前に気管ルーメンをクランプして分離肺換気differential lung ventilationを開始した。その後,SpO2は徐々に下がり85%にまで低下,呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)は55mmHg,換気圧25cmH2Oで換気量は130mL程度であった。
さて,あなたならどうする?

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