連載
THE Editorials
pp.540-541
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320050540
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The New England Journal of Medicine
Perspective:
Yamey G, Titanji BK. Withdrawal of the United States from the WHO-How President Trump is weakening public health. N Engl J Med 2025;392:1457-60.
■米国のWHO脱退による世界の健康危機
トランプ大統領は2025年1月20日の就任以来,数々の大統領令に署名してきた。パリ協定からの脱退,ガザやウクライナなどにおける和平交渉への介入,相互関税の発動など,国際的に多大な影響を与えるものが多い。その中には,米国が世界保健機構(WHO)から脱退し,WHOへの米国の将来の資金の支払いを一時停止するというものがある。トランプ大統領は1期目の2020年にもWHOからの脱退を国連事務総長に通知しているので,今回も驚くべきことではない。前回の大統領令は,WHOの脱退には通知後1年に及ぶ手続きが必要なため,2021年のバイデン大統領就任時に覆され,発効しなかった。今回のWHO脱退により,米国とWHOとの長年にわたる経済的,科学的な協力関係が断ち切られることになる。WHOに対する米国の財政支援が削減されることは,今後の米国内および世界の健康に壊滅的な影響を与える可能性がある。
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