症例ライブラリー 危機管理「発災」
巻頭言
江島 豊
1
1東北大学病院 手術部・材料部
pp.15
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320010015
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術中,地震や火災が発生することはめったにないことだが,万が一発生した場合,どのように対応するかを発災してから考えたのでは遅きに失する。傷病者が多数押し寄せてきてからトリアージを考えたのでは,救える命も救えなくなるかもしれない。
本症例ライブラリーでは,人工血管置換術中の地震,人工心肺中の突然の停電,術中火災,大規模地震直後のgrade A帝王切開,近隣での鉄道災害の五つの場面について考えてもらう。まずは冒頭の症例部分だけを読み,自分ならどうするかを考えてほしい。すなわち,誌上シミュレーションである。同じ災害でも,昼間なのか夜中なのか,夏なのか冬なのか,平日なのか休日なのかで状況は変わり,唯一の正解はない。まずは提示された状況から,自分で考えることが重要である。そして自分の考えが整理できたら読み進め,エキスパートたちが,災害の原理原則や豊富な知識からどのような事態を想定し準備しているかを吸収してほしい。さらに,麻酔科医はもちろんのこと,手術部看護師や臨床工学技士らスタッフ,そして受付や事務も巻き込み,災害シミュレーションを実行していただけたら本望である。
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