徹底分析シリーズ 臨床で本当に使えるTEE—こころをどう読むのか
巻頭言
豊田 浩作
1
1倉敷中央病院 麻酔科
pp.1
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201553
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- 文献概要
JB-POT認定試験が始まって16年。すでに合格者数は延べ2800人を超え,各種講習会による教育が広まり,書店には多くの専門書が並んでいます。かつては修練を受けた一部の麻酔科医だけのものであった経食道心エコー(TEE)技術が,今や一般的なモニターとして認識されるようになりました。今日も全国の現場で,術者の要求に応えようと若い麻酔科医が懸命にプローブを操り,描出と評価を行うためにモニター画面に集中していることでしょう。
TEEは技術的に難易度が高く,きれいな描出をして評価ができるようになるまでには,ある程度の訓練が必要です。ただ,きれいな描出と正しい評価はもちろん大切ですが,果たしてそれだけがTEEのゴールなのでしょうか? そのもう一歩先を見てみましょう。TEEによって得られた評価をどのように臨床上の意思決定につなげるのか。そして,いかにしてその内容をチームに簡潔かつ的確に伝え,術者をサポートし,結果として良好なアウトカムと患者の利益につなげるか。TEEの価値は,臨床現場におけるコミュニケーションツールとしての有用性にあるとも考えられます。
本徹底分析シリーズでは,まずTEEエキスパートが実際にはどのような思考と技術をもって画像描出と評価を行っているかを紹介します。そして現場におけるTEEを用いたコミュニケーション,いわゆるノンテクニカルスキルについて,さらには超音波原理の臨床応用やTEEによる合併症を防ぐ工夫についてなど,今までにはなかった切り口でTEEを再考していきます。
「TEEが手術室内でチームの心をつなげる」。本特集がその一助になればと願っています。
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