症例検討 新生児手術の麻酔
巻頭言
青山 和由
1,2
1Interdepartmental Division of Critical Care Medicine, UHN and Mount Sinai Hospital, University of Toronto
2国立成育医療研究センター 手術集中治療部
pp.1087
発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101656
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- 文献概要
私が麻酔科医を志すきっかけとなったのが,初期研修医時代に経験した1件の小児麻酔症例であった。その後,小児専門病院でさらなる研修を積んで気づいた事実は,「日々対応を迫られる実際の症例は,教科書上の描写よりもはるかに複雑で繊細である!!」ということであった。その最たる例が,新生児手術の麻酔であった。
複雑で繊細な新生児麻酔を克服するにはどうすればいいのか?大事な点は二つある。まず,新生児特有の合併症を含む,新生児医療への理解を深めること。そして,小さな変化が多大な影響を及ぼし得る術中の呼吸・循環管理に習熟することである。すなわち,手術を要する頻度の高い新生児特有の疾患や合併症を理解すること,そして,術中麻酔管理のピットフォールを知ることが重要となる。なかでも,先天性心疾患の合併は,時に麻酔管理をより複雑化させる。
本症例検討では,新生児手術の麻酔管理を取り上げる。より自信をもって新生児の麻酔に取り組むために,手術頻度の高い新生児疾患の麻酔管理に関して,エキスパートの考え方を学んでほしい。特に,合併する先天性心疾患への考え方,術中麻酔管理のピットフォールについては,確実に身に付ける必要がある。
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