- 販売していません
- 文献概要
前号では,「輸液管理」の前編として『周術期における輸液管理』について経時的な流れでそれぞれの先生方にご説明いただいた。前号を読んでいただいただけでも,「術前の輸液管理はどうあるべきか?」あるいは「われわれが行ってきた今までの経口摂取制限は厳しかったのではないか?」がおわかりいただけたかと思う。また,麻酔管理を行ううえで,「麻酔導入時はどう考えたらよいか」,あるいは「麻酔管理中はどうか」など周術期の一般的な輸液の概念について理解していただけたと思う。
さて,全身麻酔管理は飛行機の操縦に例えて考えられることが多いが,われわれ麻酔科医はいつも好天気のなか,最新鋭の飛行機を操縦できるとはかぎらない。よく遭遇するのは悪天候(出血)であろうか。強烈な風雨(大出血)であることもあるし,まれに台風(門脈損傷)に遭遇することもある。そんな時,われわれはどのような技術(輸液剤の種類や優先度)をもってそれに立ち向かって行かなくてはならないのか。
一方,実際の飛行機にはあってはならないが,時には今回かぎりで使用不可能なエンジン(心不全)を持った飛行機で,安全に目的地まで到達しなければならないこともあるだろう。そんなとき,エンジンの予備力を推し量るには何が適切であろうか。どのような方法(心エコー,肺動脈カテーテル)を用いて操縦に生かせばよいであろうか。さらに,われわれは,計器が故障したり(脳腫瘍やICP上昇),機体に落雷を受けたり(熱傷),エンジンが止まったり(開心術),燃料が漏れ出したり(イレウス),さらには目的地の変更も余儀なくされる(食道外科の開腹開胸手術)。こんな時,操縦士の横に指南書(LiSA)があり,われわれを安全な操縦へと導いてくれればどれほど助かるであろうか。
今回の後編の特集では,そのような大変な場面に遭遇するであろう時に役に立つ輸液管理法について,それぞれの分野でご活躍の先生方に登場していただきご説明いただいた。前号と読み合わせていただくことで,輸液管理については読者もエキスパートになっているに違いない。
Copyright © 2009, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.