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Key Questions
Q1:総合病院における精神科リエゾンチームは,アディクション関連疾患にどのように関与しているのか?
Q2:初期介入やチーム実践ではどのような制約があるのか?
Q3:精神科リエゾンチームの介入は,アディクション患者の早期発見と治療動機形成にどのように寄与しているのか?
はじめに
精神科リエゾンチーム(psychiatric liaison team:PLT)は,精神的医療と身体的医療の積極的連携を図り,一般病棟において入院中の患者やその家族の精神症状や心理的問題に対し,専門的技術をもって身体的・精神的・社会的な視点から個別性を大切にした治療・ケアを行うチームであり1),多職種が協働して専門的な評価および介入を実施する.「リエゾン(liaison)」はフランス語で「橋渡し」を意味し,精神科と身体科を結ぶ役割を担い,2012年(平成24年)4月の診療報酬の改定で加算が設けられた.介入内容はせん妄や不眠をはじめ多岐にわたるが,アディクション関連の課題に対する依頼もみられる.
総合病院においては一般医療と連携した精神医療が不可欠である.救急医療での過量服薬やアルコール依存症診療,摂食障害診療等,アディクション関連疾患の診療の現状と課題が報告されており,精神科のリエゾン機能の重要性と,身体科との協働による包括的介入の必要性を示している2)が介入は容易ではない.
本稿では,当院におけるPLTの活動経験から一般診療科におけるアディクション関連疾患を対象とした介入と課題について報告する.なお,ICD-11ではアディクションは「物質使用症または嗜癖行動症群」と定義され,アルコール依存,薬物使用障害,ゲーム行動症が含まれており,摂食障害は同分類に含まれない.しかしコントロールの喪失や有害行動の持続といった共通点を有し,「苦痛を軽減させる嗜癖的行動」と捉えることで適切な介入が可能と考えられるため3),本稿では摂食障害もアディクションの概念に含めて論じる.

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