Japanese
English
特集 身近な臨床に潜む依存症という病とそのアプローチ
依存症の予防分野での調査および介入の報告
Research and interventions in addiction prevention
前田 大輝
1
Taiki Maeda
1
1あきやま病院
pp.1200-1203
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590111200
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Key Questions
Q1:依存症の予防とは?
Q2:さまざまな分野での予防とは?
Q3:作業療法士としての専門性を活かした職域拡大の可能性とは?
はじめに
日本ではアルコール(以下,AL)依存症の生涯有病者数は107万人と推計されている1)が,その一方で医療機関にかかっているアルコール依存症者数は厚生労働省「患者調査」〔2011年(平成23年)〕によれば約4万人であり,アルコール依存症の診断に当てはまるが医療機関にかかっていない人は相当数いるといわれている.この治療ギャップについては世界的にみても同じ傾向が指摘されている.
「健康日本21(第3次)」では“生活習慣病のリスクを高める飲酒量を純AL換算で男性40g/日以上,女性20g/日以上とし,生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者(以下,リスク飲酒者)を10%削減する”2)と目標が掲げられている.
また,2022年(令和4年)の厚生労働省による報告3)では,男性のリスク飲酒割合は「変わらず」,女性は「悪化している」とされた.さらに,女性の年齢別推移では20〜39歳では減少傾向にあるものの,40〜69歳で増加傾向,70歳以上でも緩やかに増加しており,多量飲酒に対する正しい知識の普及が不十分であることが浮き彫りとなった.
本稿では,当院の多職種依存症支援チーム「A-FLAG」が実施した予防的取り組みのうち,①ICTを活用した産業保健分野へのAL問題調査,②介護予防事業への参画,③ギャンブル(以下,GA)問題に関する予防活動の3点について報告する.

Copyright © 2025, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.