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特集 非がん患者の緩和ケア
パーキンソン病を呈した重度認知症の方への緩和ケアの視点と訪問作業療法の役割
The role of home occupational therapy in palliative care for people with severe dementia presenting with Parkinson's disease
金丸 泰子
1
Yasuko Kanamaru
1
1ゆみのハートクリニック
pp.656-661
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590070656
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Key Questions
Q1:重度認知症の方の能動性を作業療法で引き出すには?
Q2:作業療法における「自己の立ち現れ」は,緩和ケアにおいてどのような意味をもつのか?
Q3:終末期において「実存」としての作業はどのようにして成立するのか?
はじめに
超高齢社会の進展に伴い,わが国では在宅医療が推進され,在宅で最期を迎える人の数は2001年(平成13年)以降増加傾向である.2019年(令和元年)以降は病院死の減少も相まって,さらに加速化していることが示されている1).こうした中,高齢者の多くは認知機能の低下を有し療養生活を送っており,緩和ケアのニーズも多様化している.
三木ら2)は,緩和ケアにおける作業の効果として,創造性の発揮,感情の表出,人生の回想,生活リズムの維持,役割の獲得,自尊心の維持,身体機能の維持,孤独感の軽減,社会的つながりの保持,および死への準備の10項目を挙げている.これらより,終末期において作業療法士は,対象者の興味や価値観を尊重しつつ,適切な作業を選定・実施することで,人が尊厳を保ちながら生きることを支援できると考えられる.本稿は,訪問作業療法の実践を報告し,重度認知症を有する終末期高齢者に対する作業療法の有用性とその可能性について検討する.

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