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特集 非がん患者の緩和ケア
若年層の薬物・ゲーム依存症と緩和ケア
Palliative care for adolescents with substance and gaming addiction
八谷 隆之
1,2
Takayuki Hachiya
1,2
1医療法人河村クリニック
2株式会社DMW
pp.662-666
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590070662
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Key Questions
Q1:わが国の依存症および治療の実態とは?
Q2:依存症当事者を取り巻く環境に何が起きているのか?
Q3:緩和ケアの観点を踏まえた薬物・ゲーム依存症における作業療法士としてのアプローチとは?
はじめに
依存症は,現代社会において深刻かつ広範な問題であるにもかかわらず,十分に理解されているとは言い難い疾患である.依存症は「死に至る病」であり,臨床の現場にたどり着くことができず,適切な治療を受けないまま病状が悪化し,自死や事故死に至るケースが,国内外で数多く報告されている.その中には,10〜30代前半の若者も少なくない.WHOは2002年に緩和ケアを,「生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを,痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで,苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチ」1)と定義している.この定義は,薬物依存をはじめとした依存症治療や回復支援のアプローチとも深く重なるものであり,依存症臨床においても重要な視点といえる.心身および社会的な側面のいずれにおいても安心感を得ることができず,薬物やゲームといった代替的な世界に拠り所を求めざるを得ないクライエントやその家族に対して,作業療法士としてどのような支援が可能であるのかが問われている.

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