連載 作業療法を深める・第101回
薬剤師の視点で考えるパーキンソン病の薬物療法
安高 勇気
1,2
Yuki Yasutaka
1,2
1福岡大学薬学部 病院薬学研究室
2福岡大学病院 薬剤部
pp.482-486
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590050482
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はじめに
パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)は進行性の神経変性疾患であり,現在の治療は主に症状の管理を目的としている.根治療法は確立されておらず,症状のコントロールのために多様な薬剤が使用されている.
PDの薬物療法は非常に複雑であり,薬剤の選択や調整は神経内科専門医の知見に大きく依存するのが現状である.薬剤師が処方の意図を正確に把握し,適切に対応するためには,PDの薬物療法に関する深い理解が不可欠である.しかし,薬学部の教育では,主に薬剤の作用機序や副作用に重点が置かれ,診療ガイドラインや臨床判断に関する学習機会は限られている.そのため,学部教育だけでは十分な知識を得ることが難しく,5年次の実務実習を通じて初めて実践的な知識を習得する学生も多い.また,薬剤師であってもPDの薬物療法を十分に理解しているとは限らないため,医師や薬剤師以外の医療従事者にとっては,適切な薬剤の選択や投与調整を理解することがさらに難しくなると考えられる.
そこで本稿では,薬剤師の視点からPDの薬物療法について,用法用量,食事に注意を要する抗PD薬,代表的な抗PD薬の副作用,貼付剤の留意点等の観点を中心に解説する.

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